Webセミナーでの質問に対するご回答一覧 2022.11.24

質問へのご回答
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「まるッとわかる!末梢血幹細胞採 ~2施設の比較~」

東海大学医学部付属病院・自治医科大学附属病院 編

今回ご講演頂いた2施設では、スペクトラ オプティア®(テルモBCT)が使用されております。装置の設定等に関するご回答内容については、それらの前提条件をお含みおき下さい。

装置の設定

CMNCとMNCのどちらで採取を実施していますか?

・東海大CMNCモード
・自治医大CMNCモード

■ 採取における処理量はどのように決めていますか?

・東海大成分採取の処理量はCD34測定値で決まります(採取対象者の体重kg当たり250mLを処理血液量の上限としています)。
・自治医大処理量は「体重kg×200mL」の設定ですが、原則、4時間を上限としています。

採血流量速度の設定は、採取開始時に設定するのか? 採血圧を見ながら少しずつ上げていくのか? 教えてください。

・東海大採血圧を見ながら少しずつ上げていきます。採血圧が保てる場合、採血流量の上限を体重プラス10mL/分とし適宜調整しています。
・自治医大30mL/minから開始し、採血圧・返血圧を見ながら少しずつ上げていきます。上限を80mL/minとし、可能な限り(圧レベルが緑または黄の範囲内で)採血流量を確保します。

AC比の設定はどうしていますか? AC比を上げた場合には、ヘパリンを加えていますか? また、血小板凝集の発生はありませんか?

・東海大基本的にAC比は1:16で設定しています。ヘパリンは加えていません。1:16でも凝集が発生することはめったにありませんが、発生した場合はACDの濃度を適宜上げます。
・自治医大デフォルトの12.0で行うことはありません。固定はしていませんが、平均すると14.0~15.0の設定で施行し、ヘパリンの追加は行っておりません。凝集の経験はありません。

採取速度はどうされているでしょうか? 当院ではPBCD34+が高い場合1.0→1.2mL/分に上げたりしています。

・東海大基本的に1.0mL/分で設定しています。
・自治医大原則、デフォルトの1.0mL/分で設定しています。白血球数や採血流量によって採取流量を上げることもあります。

東海大学はCD34を測定して途中で終了しているとのことでしたが、可能であれば具体的な採取終了の目安を教えて下さい。

・東海大CD34陽性細胞数として、2.0E+06/Kgを目安としていますが、症例によって異なります。医師の指示に従います。

ルート確保

バスキュラアクセスは自己血管でしょうか?

・東海大自己の血管に穿刺しています。
・自治医大原則、自己血管ですが、透析患者の場合はシャントに穿刺しています。

採取時の穿刺針のサイズはどれくらいのものを使用されていますか。

・東海大16Gを使用しています。
・自治医大原則、17Gを使用しています。血管が細い場合は18Gを使用することもあります。

自治医大では採取の時に同じ腕の同じ血管から脱血と返血を行っているのでしょうか? バスキュラーカテーテルを使用しての採取は行っていますでしょうか? 腕からの採取との使い分けがあればお教え下さい。

・自治医大両手の肘静脈がほとんどですが、片腕の異なる血管や、同じ血管を確保することもあります。同じ血管で確保する場合は、穿刺位置を離したり、逆向きに穿刺したりして再循環を回避するよう工夫しています。
また、事前にエコーにて血管評価を行い、血管径や走行より判断して、末梢静脈血管での採取が難しそうな場合は中心静脈カテーテルにてルート確保します。

トラブル対応

インターフェースがなかなか定まらない時の対処法ありますか?

・東海大不安定な脱血による場合はその改善を行っています。脱血が安定していてなかなか定まらないのは、経験的にヘマトクリットが低い場合に多いので、患者データのヘマトクリット値を下げています(3下げて様子を見て、適宜調節)。
・自治医大東海大さんと同じ。
開始時のインターフェース不形成に対しては、ヘマトクリット値を3ずつ下げて様子見ますが、窓から覗いて、明らかに血漿しか見えない場合は、再循環の可能性があるため(カテーテルや片手穿刺の場合)、採血流量を下げて様子見ます。

回路内に凝集塊がみとめられた際の対応はどのようにおこなっていますか。また、どの程度までの凝集塊を許容範囲としていますか。

・東海大凝集塊の許容範囲は特に設けておりませんが、採取BAGへ通じる回路内に凝集塊が多数認められた場合は、AC比を上げます。
・自治医大許容範囲は設けておりません。回路内の凝集塊については、たまにであれば何もしていません。連なるほど認められればAC比を一気に8.0にします。

場合によってはトイレ離脱する時があるとありましたが、装置側のみで血液を循環することはできるのでしょうか。以前処理を停止しながら装置側のみで血液を循環しているとアラームが発生しできなかった覚えがあります。

・東海大東海大では採取中はベッド上でトイレ対応を看護師がしております。
・自治医大回路内にACDが入っているため凝固は考えにくく、一時停止中における回路の血液循環は不要であると思われるため、当院では循環を行っておりません。

採取環境・多職種協働

■ 業務分担はどのようにされていますか?

・東海大医師が採取を統括し、看護師が患者観察と採取介助、臨床検査技師が成分採取装置の操作を実施しています。
・自治医大医師が採取を統括し、看護師が患者観察と採取介助、臨床工学技士が装置の操作と患者観察、臨床検査技師が細胞の計測、保存管理を行っています。

バイタルサインや症状の確認等はどの程度の頻度で行っていますか?
採取中、医師、看護師、オペレーター等は、常に患者の側にいますか?

・東海大バイタルサインはおよそ1時間ごとに看護師が実施しています。必ず採取中は常に患者の側にいます。側にいるのは看護師や臨床検査技師が多いです。
・自治医大バイタルは看護師、臨床工学技士が、開始前、開始時、1時間ごと、イベント発生時に行っています。採取中、オペレーターは常に患者のそばに常駐し、医師、看護師は同室におり定期的に状態確認をしています。

■ 認定看護師は何人いますか?

・東海大1名です。
・自治医大1名です。

■ 前日に患者訪問等は行っていますか?

・東海大前日訪問を実施しています。同種移植のドナーの場合は、入院時に採血室に来ていただきます。
・自治医大前日に採取場所である自己血ルームに来ていただき、担当看護師より、採取の流れや留意点について説明しています。臨床工学技士は、末梢血管のエコー評価のために、2週間前頃に病室訪問しています。

■ トラブル事例について、部内でどのように情報共有されているか、教えてください。(ISOに準じて記録管理までされているか、口頭や部内メールで共有されているか、など)

・東海大トラブルの程度によりますが、軽微であれば部署内伝達をして情報共有を行います。それ以上であれば院内ルールに則り、レポートで担当部署に報告する体制です。どのようなトラブルであったか振り返られるように記録は残すようにしています。
・自治医大トラブル時は、まず当日携わった他職種スタッフ内で共有します。オペレーター(臨床工学技士)は毎日の終礼でチームメンバーに報告し、状況によってはディスカッションを行います。オペレーション記録にも残しますが、終礼ノートにも記載し、当日不在であったメンバーはノートに目を通したのちに確認印を記すようにしています。

件数が多い施設では、同日に複数名の採取が行われることがありますか。
検体検査を長く担当していましたので、採取前に、採取バッグや薬剤への照合用ラベルの添付がない事が気になります。医療安全対策として導入している、または検討している事項はありますか。

・東海大頻度は少ないですが、同日に複数名の採取はあります。採取産物にラベルは貼付されます。このラベルで投与時の照合が実施されています。
・自治医大同日採取は年に数件程度あります。患者入室後に、看護師により3点認証を行ったのちに、バッグへの照合ラベル、薬剤へのラベル貼付を行っています。

タスクシフトに関連して、臨床検査技師がアフェレーシス採血時の穿刺や点滴などにどの程度かかわっているのでしょうか

・東海大医師の指示のもとアフェレーシス採血時の穿刺を実施しています。アフェレーシス採血時に回路組む際、生食やACD液を繋いでいます。
・自治医大当院では臨床検査技師はアフェレーシス業務を行っていません。

その他

■ 作業点検時のチェックリストについて、詳しく知りたいです。

・自治医大当院で使用している点検時チェックリストをアップさせていただきました。
ダウンロードページへ

■ 200名近く参加されていたと思いますが、臨床工学技士、臨床検査技師の比率はどうなんでしょうか? 施設によって細胞採取の業務分担が異なるとは思うのですが。
また、症例によってMNC.CMNC使い分けていたりするのか教えて欲しいです。

・東海大東海では細胞採取を臨床検査技師が実施しています。CMNCモードで実施しています。症例による使い分けはしていません。
・自治医大採取は臨床工学技士が実施しています。当院もCMNCモードのみの実施です。

本セミナー参加後にご回答いただいたご施設におけるオペレーター職種内訳を掲載いたします。ご参照ください。

オペレーター職種内訳(アンケート結果より)

■ 回路延長チューブの商品名を教えて下さい。

・東海大JMSエキステンションチューブ:JV-NDH2050FL 500mm フリーロック2.5ml
(三方活栓も使用しています:BD Connecta 394900)

■ 小児患者等でカスタムプライミングを必要とする際の赤血球液の使用量はどのように決定していますか?

・東海大医師の指示で赤血球量は決まります。
・自治医大症例ごとに医師と相談し決定します。

■ CD34+測定用の検体はバックからの採取でしょうか?その際バックを混和するなど注意していることはありますでしょうか?

・東海大CD34+測定用の検体はバックからの採取しています。よく混和してサンプリングをしています。
・自治医大(本セミナー後に途中測定を導入しました)バックからの採取しています

■ CD34の測定はどのタイミングで行っていますか?また、測定機器と測定時間も教えていただきたいです。

・東海大測定機器はNAVIOS(ベックマンコールター社)。Stem-Kit(ベックマンコールター社)を使用して測定しているので測定時間はメーカーのマニュアルに従っています。
測定のタイミングは以下3点で測定しています。
①採取予定日の朝採血された末梢血検体
②採取BAG volumeが25~50mL(インターフェイス形成までの時間や朝の末梢血中CD34+細胞数を考慮して決めます)でサンプリング
③採取終了後の採取BAGからサンプリング
・自治医大処理量が50mL/kgに到達した時点で採取しています。

■ チェアベッドは自己血採血時に使用されるとのことでしたが、細胞採取の際に使用しない何か具体的な理由などがありましたら教えていただきたいです。

・東海大細胞採取でチェアベッドを使用しない理由として具体的な理由があるわけではありません。

■ Optiaで、時間がずれていることが多い気がしますが始業点検で合わせないですか?

・東海大運転毎の始業点検で必ず合わせることはしておりませんが、ずれが大きくなってきたと感じた時点で合わせています。
・自治医大当院でも遅れが見られます。毎月、月末に時刻合わせをしています。

ご回答者
・東海大学医学部付属病院 臨床検査技術科 輸血室 科長補佐  杉本 達哉 先生
・自治医科大学附属病院 臨床工学部 主任臨床工学技士 松岡 諒 先生


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