Webセミナーでの質問に対するご回答一覧 2023.8.3

質問へのご回答
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まるッとわかる!アフェレーシス 2施設の比較

東邦大学医療センター大森病院・千葉大学医学部附属病院 編


今回ご講演頂いた2施設では、スペクトラ オプティア®(テルモBCT)が使用されております。装置の設定等に関するご回答内容については、それらの前提条件をお含みおき下さい。

モード

MNCとCMNCのモードで、インターフェースの形成時間はどれくらいの差がありますか?また、どちらのモードの方が採取細胞数が多いでしょうか?

・東邦大CMNCモードは使用したことがありません。
Optiaを導入した時はMNCモードだけでした。その後、CMNCモードが搭載されましたが、採取量が増えることと自施設での採取件数では比較検討ができないことなどメリットがなかったため、MNCモードのまま採取しています。
・千葉大MNCとCNCでインターフェイスの形成時間の差は一概には言えないと思います。アラームや、データの正確性、採血速度により、インターフェイス形成時間は変わります。
また、MNCではその後のチャンバー充填作業があるため、採取が開始されるまでの時間はチャンバーの充填状況によって異なります。CMNCでは一定速度でバフィーコートを採取しますが、MNCではPLT量で採取ポンプ速度を、白血球数で採取量を自動計算するため、白血球量が多いと採取回数も多くなります。また、CMNCでは白血球が多く(6万以上)、採取速度が速い(70mL/min以上)場合には、取りこぼしをなくすため、採取ポンプを上げる(最適化)手順もあります。
細胞数に関しては両モードが出てきたときの研究では採取細胞数には違いがないと言われており、実際に当院でもどちらのモードでも採取細胞数に違いはありませんでした。

プライミング

■ エアー抜きは、どの程度まで慎重にやらないといけないですか?返血ラインは、より慎重にと教育を受けております。

・東邦大ルート内で目視できるエアーは除去するようにしています。
・千葉大エア抜きに関しては、千葉大ではプライミング者の気が済むまで、と教育しております。実際、抜くに越したことはありませんが、プライミング後、所々のポートに残ったエアが入っても、ほとんどの方は問題は起こりません。どのくらい空気が入ったらまずいか、ですが、実施の正確な数値は研究されていません(研究できません)ので、正確な数値は不明です。

■他家(同種)PBSCHの際にもオプティアの初流血除去回路は使用しないのでしょうか?

・東邦大他家PBSCHは実施していません。
・千葉大PBSCHに関しては基本的に凍結されるため、菌の増殖は少ない(ほぼない)と考えており、千葉大では脱血側からの採血以外での初流血除去は実施しておりません。

RBCプライミングをした際に、ルート内血液が凝固してしまった経験があります。解決策や対策等はありますか?

・千葉大どのタイミングで凝固したかにもよるかと思います。基本的にRBC単独で凝固することは考えにくく、患者様のご病態、状況によるものかと思います。MNC,CMNCどちらであってもAC比を8:1へ下げ、100mL程度を処理し10:1程度に戻すか、8:1で続行するかを検討して下さい。ただし、MNCでは、アドバンスコントロール画面の『採血:AC比を下げる』ボタンから採血:AC比を下げた場合は、10mL処理した後、画面に表示がでますが、1回のみで、その後採血:AC比を8→10に変更してもお知らせはないそうです。
また、CMNCの場合はお知らせ表示は出ませんので注意が必要です。

小児や低体重の方に対し、ヘマトクリット入力値を下げる対応以外に、カスタムプライムをする経験はどのくらいあるでしょうか?

・東邦大RBCでプライミングを行うのは、小児だけです。
・千葉大千葉大ではこの3年間では、年間5件ほどのカスタムプライミングを実施しております。 すべて小児の症例です。大人では40kg(一番体重が少なかった方では39kg)でも、今まではカスタムプライミングをしておりません。(あらかじめカスタムプライミングが必要なほど低体重と分かっていた場合には、カスタムプライミングの実施も検討致しますが、今のところ大人では不要という判断になっております)

初期設定値

設定値はどれぐらいにされてますか?

・東邦大初期設定からの設定値の変更は、基本的に「処理TBV」、「採取血漿量」、「採血速度」のみです。
・千葉大すべての採取条件は患者情報を入力し、Optiaが設定したところをデフォルトとし、必要細胞数に合わせて当院規定に合わせて採血流量をアップし、当院規定の時間内に収めています。当院では、これまでの状況とバンクの採取規定を鑑みながら、処理量上限、時間上限を独自に決めております。

採血速度の上限は決めていますか?

・東邦大最大AC注入率が「1.2」を超えない速度にしています。
・千葉大採取速度の上限は決めておりません。AC注入率の推奨(1.2)を超えてあげることもあります。尚、当院ではAC比を変更し流量をアップすることは行っておりません(回路内凝集を避けるためです)。 また、AC注入率を変更しての流量アップはAC注入量が変化しますが、都度、グルコン酸カルシウムの持続注入量を変更しております。

CMNCモードで、インターフェイス形成までの採血流量はさげられますか?末梢での採取の時に困っています

・千葉大下げることはできますが、インターフェイスの形成は遅れます。インターフェイス形成中に変更を加えると、再度インターフェイスの形成に入りなおしますので、最短時間ではなくなります。とはいえ、初期のインターフェイス形成時に、脱血圧低下等のアラームが頻発すると、Optiaは間違ったものを採取することを回避するため、MNC採取に入らないことがあるそうなので、やはり脱血圧が安定するところまで下げて、インターフェイスを形成することが大切かと思います。

血流をできるだけ多くとると話されていましたが、どれほど増やして良いのでしょうか。また、時間も伸びてしまうと思うのですがその辺はどこまで許容しますか?

・千葉大当院では血流はデフォルトを参考にし、その都度患者の体格、脱血状況を鑑み、採血流量を挙げております。採血流量は、AC注入率の推奨値である1.2を超えて変更することもありますが、AC流量に応じてグルコン酸カルシウム注入速度を変更しております。また、採取時間を当院独自で規定しており、これは診療情報になるため公開しておりません。

インターフェース

インターフェースが形成できないときに血流を変更することはありますか? TPEでは血流がおすぎるとうまく形成できない等経験があります。

・千葉大インターフェイスを形成するための血流の変更は、
・脱血状況を安定させるために脱血流量を下げる
・フィラー内に赤血球を溜めるため、処理量を増やす
があると思います。その時の状況で変更をすることが必要と思われますが、アラームが鳴っていないにもかかわらず、採血流量を何度も変更することは、Optiaの予測をずらすことになり、インターフェスの形成が遅れることに繋がります。
また、TPEでは効率を高めるために、インターフェイスが出来ていなくても、強い遠心をかけ分離ができれば血漿を除去し始めるので、インターフェイス形成にこだわらなくても良いと、テルモBCTから伺っています。採血流量が早すぎるからインターフェイスが形成できないということもないそうです。他の原因検索も必要かもしれません。

採取ラインや回路内で凝固は確認出来なかったが、インターフェイスが安定せず回路内凝固が疑われた事例がありました。インターフェイスが安定しない時、初期インターフェイス形成に時間がかかる場合に確認すべき事項があれば教えてください

・千葉大インターフェイスが安定しないのは、質問者様が仰るように回路内の凝固や、脱血状況が不安定など、様々な要因が考えられますので、まずはその要因を取り除く必要があります。回路内凝固は上記手順をご参照ください。
インターフェイスの形成に時間がかかるときは、赤血球量が少ない場合、AIMの故障、血漿ラインの障害、チャネル取り付けの障害などが考えられると思います。
インターフェイスの形成/再形成の間は、インターフェイスが安定する前に目標以外の血球が採取されることを避けるため採取プリファレンスの目標が高くなるそうです。採取が開始された後うまくインターフェイス形成ができないと『初期のインターフェイスが形成できませんでした』アラームが発生します。
あと、たまたま赤血球量が少ない状況で、脱血不良など他のアラームが頻発すると、機器はいつまでもインターフェイス形成をします。 『初期のインターフェイスが形成できませんでした』アラームが出た時には画面に従って対処するのが最短と、テルモBCTから聞いております。
ほとんどがHctを3%下げるという対応になるかと思いますが、遅いからと言って、アラームが出ていないのにHtをいじると、システムがもう一度インターフェイスの形成をやり直すことになってしまい最適な状態ではくなり、余計にインターフェイス形成に時間がかかる可能性があります。また、この間はプリファレンスの変更は有効ではないので気を付けて下さい。

AC比

AC比の設定で悩むことがあります。凝集塊がある場合、採取は継続出来ていても採取効率が悪くなることがあるので、当院では12:1から開始し、液面不整など初期に凝集形成を疑うような兆候がないか確認して、1000mL程度処理した時点で問題なければAC比率を減らしていっていますが、どのように工夫されているでしょうか?

・東邦大基本的にはAC比の変更はしていません。しかし、ルート内に血小板の凝集がいと得られたら、10まで下げて徐々に12に戻していきます。
・千葉大回路内に凝集塊ができることはあまりないため、貴院の様な工夫はしておりません。仰る通り、凝集塊が多いと、採取効率に影響を及ぼしますので、貴院の方法は、良い工夫ではないでしょうか。